世界一売れた少女漫画としてギネスに載った「フルーツバスケット」の作者、高屋奈月の作品「星は歌う」。

""フルバ""(フルーツバスケット)が全23巻で大ヒットし、""星歌""はアニメ化も無く全11巻という短い作品。

だが、作品の良さに巻数は関係なかった。フルバが好きなゆえに新作にガッカリしたくなくて読むのを躊躇しているという人は迷わず読むべし。

星が好きな主人公が同好会を作り、学園生活を送るのがこの漫画の基盤だが、
物語が進むにつれ、登場する人物すべて(といっても過言ではない)が悩みや過去の傷を背負って生きていることがあらわになっていく。

人を傷つける言葉を吐くことに何の抵抗も感じなかった少年、大事な人を守れなかった少年、実母にも実父にも義母にも自分の存在をお荷物扱いされ居場所がない少女...

登場人物たちが苦しみながらも立ち向かう様子は胸が詰まる。

そして、傷つける人もいるけれど、救ってくれる人も確かに存在する、読み進めるうちにそれを強く感じる。

登場する数人の心の傷を描いているので、読者は、自分の持っている傷と重なる時もあるだろう。

天才と言われた少年が大学に落ち、親の期待と圧迫で過呼吸に苦しみながらやがてひきこもりになり「堕ちて」いき、そこから這い上がろうと闘う。

病気で大学を中退し数年間無職のひきこもり状態だった私は、このストーリーはボロボロと涙が止まらなかった。つらくなるとこの話が収録されている巻だけ読むことも多かった。

「大丈夫、君は""不必要""なんかじゃない。今までよく頑張ったね。」と言ってもらえた気がして安心して涙を流せる、そしてまた今日から頑張ろうと力をもらえる漫画だ。